俺の野望が段々具体的になってきた。
男は野心的でなければ、と思う。
肉食でありたい。
別に男女交際に派手というわけではなく、野望のためにがっつきたい。
俺はこれから発展途上国の餓えた奴等と戦わねばならない。
奴等と戦うための武器なんか持ってない、手ぶらに近い。
食えるもんは全部食って、かつげるもんは全部かついで、使えるもんは全部使って、なんとかしていかなくちゃ。
生ぬるい国で、生ぬるい環境で、特に空腹も感じず生きてきた俺に、満たされてきた俺に、達成したいと思うような目標や夢などはなかった。渇望などはなかった。
それは一種の原動力だ。
俺には死に物狂いってもんがなかった。そんなことしなくてもある程度は満たされていた。小さく収まっていた。退屈に甘んじていた。ぬるま湯から出ることを怠けていた。
要は俺は自分の器をはかりたいのだ。
ちっちゃいのは分かってる。
いや、分からない。
でかくできるもんならでかくしていきたい。
俺は日本に誇りを持っている。
俺は日本の技術は素晴らしいと思う。
過激に言えば、俺は日本の技術で世界を征服したい。
普通のサラリーマンみたいな顔で世界を征服したい。
みんなを幸せにしたい。
おかげさまで助かるわぁって人を、一人でも増やしたい。
それだけ。
その影で泣く人すら幸せにしたい。
貪欲に生きたい。
でもとりあえず身近な人々から幸せにしなくちゃな。
それで手一杯になるようなら、俺はそれだけの器なんだから。