No power

　
　
　
　
　
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　まさにがけっぷち。
　俺の言葉は届いているかどうか分からない。
　でも俺の言葉をきこうとはしてくれるらしい。
　
　
　何がそこまで追い詰めたのか、
　それはほとんど知っている。
　その口から聞いた。
　聞いたとしてもどうにもできない俺は無力だ。
　
　
　
　原因など分かっている。
　知っている。
　知っているけどどうにもならないから苦しんでいる。
　心が疲れている。
　壊れてしまいそうだ。
　もう見ていられない。
　気持ちが痛いほど流れ込んでくる。
　すべて投げ出してしまわないとよくならない。
　このままではよくならない。
　このままではもう取り返しのつかないことになるかもしれない。
　すべてをなくすかもしれない。
　でも俺は何も出来ない。
　そばにいることさえ出来ない。
　俺には何も出来ない。
　出来るのはすべてが壊れたあとだ。
　
　
　
　俺は無力だ。
　罪悪感さえある。
　自分の手ではなんとか出来ないことなんて
　この世には無数にあるだろうけど、
　この俺に、
　なんとかしたいことが出来るなんて、
　思ってもみなかった。
　体中が熱い。
　
　
　
　何か出来るかもしれない。
　でもそれは今じゃない。
　だから待ってくれ。
　なんとかしてあげるから。
　それまで耐えてくれ。
　でも俺にはそれを強いる力もない。
　俺には何もない。
　
　
　でもなぜか、
　俺なら、
　俺なら救えるかもしれないって。
　というより、
　救ってみせるっていう、
　思いというか願いが。
　
　
　
　
　どうして周りが…
　気づいているのだろうか。
　なぜ支えてやらない。
　みな自分のことを推し付けるばかりか。
　何が大人だ。
　
　
　大事な人を守りたい。
　俺に出来ることは何だ。
　何か命じてくれ。
　出来ることならやる。
　でも何も命じることなんかないんだって、
　あったら求められてるって、
　そこまでもう分かってる。
　遠慮されてるから。
　
　
　
　この願いが負担なら姿を消そう。
　俺の幸せを望むばかりに、
　自分を犠牲にしてしまうのは知っている。
　そばにいられる日が来るまで、
　ややこしいひとつの要素を消してやろう。
　考えなくてすむように。
　その分他の処理に割けるはず。
　
　
　
　出来ることならすべて何とかしてやりたい。
　あなたのたった一つの望みを叶えてやりたい。
　それがかなうことで、
　すべてがうまく行く気がする。
　すべてがかみ合って、
　あなたはちゃんと、
　立てるだろう。
　俺にはそんな存在になりうる可能性だってある。
　
　
　
　
　でも何で今は、
　俺はこんなに無力なんだ。
　どうして何もしてやれないんだ。
　どうして何か出来るはずの人が何もしないのか。
　わからない。
　また冷めていく体温。
　わけの分からない感情が昂ぶっていた。
　今までのスカスカの人生をかけて何とかしたいことが出来た。
　でも今まで学んできたことは何の役にも立たない。
　
　
　どうしようもないエネルギーがくすぶる。
　
　
　俺は壊れたんだろうか。
　いつからこんなに人のことを大事に思うようになったんだろう。
　他人なんてどうだってよかったのに。
　
　
　
　この若さ故の情熱を、
　現実でどうにかして冷ませないものか。
　いくら萎えさせられても、
　ぜんぜん元に戻らない。
　こんな感情を抱くなんて。
　人生に一度か二度なんじゃないか？
　それほど本気で。
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　　
　
　…本気で自分の無力さに絶望している。
　
　
　
　
　
　
　
　
　マジで勘弁してほしいぐらい、
　俺はバカだ。
　どうしようもない。
　でもそんなバカでも救えそうなものがある…
　
　
　
　自分の無力さを自覚してから、
　出来ることを虱潰しに探して、
　出来るだけ実行したら、
　たぶん後悔はしないだろう。
　
　
　
　たいしたことが出来ない俺を許してほしい。
　でもそんな他愛のないことで少しでも救えたら、
　その行動に意味はあるはず。
　少しでも心が安らぐなら、
　また現実へと立ち向かう力に少しでもなれるならば…
　悲しみと怒りと恨みでいっぱいのなかに、
　喜びと楽しみを少しでも混ぜられることが出来るなら、
　俺にそれが出来るのであれば、
　
　
　
　
　
　
　
　

　
　
　
　
　
　
　俺にも生きる価値がある。






　
　
　
　

　
　
　　
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